フサスグリは、スグリ科の植物で赤い果実をつける植物。
透明感のある赤い実がなるものが有名ですが、白い実をつけるものもあります。
草丈は1~2m、実の大きさは5~10mmほどです。
ぶどうの房のようにたくさんの実がつくのが特徴的で、6~7月中旬ごろが収穫機です。
果実や花の見た目も可愛らしいフサスグリ。
原産地のヨーロッパなどでは果実をジャムやジュースにするために普通に栽培されていますが、日本では「植えてはいけない」と言われていることもあるのです。
では、なぜフサスグリは植えてはいけないのでしょうか?
また、栽培するときはどのようなことに気を付けて育てたらよいのでしょうか。
フサスグリを植えてはいけない3つの理由
フサスグリを植えてはいけないとされる理由は3つです。
・繁殖力が旺盛だから
・暑さに弱いから
・病気や害虫で枯れることがあるから
今回はこの3つを詳しく解説したいと思います。
繁殖力が旺盛だから
フサスグリは繁殖力が旺盛です。
苗を1本だけ買ってきて地植えしても、こぼれ種でどんどん増えてしまうことがあります。
自宅の庭や鉢植えなどならいいのですが、気が付いたら隣の家の庭にまで生えていた、ということになるとトラブルになりかねません。
そのため、種が落ちたらすぐに片付けるようにしたりネットを張るなどの対策が必要になるため、それらが億劫な人には敬遠される植物かもしれません。
暑さに弱いから
ヨーロッパが原産のフサスグリは、寒さには強いのですが暑さには弱い植物です。
日本の暖地で一日中太陽に当たる場所に植えてしまうと、暑さにやられて弱ったり枯れてしまうことがあります。
このことも、植えることを避ける原因の一つになるでしょう。
病気や害虫で枯れることがあるから
フサスグリは病害虫が発生しやすい植物です。
特に梅雨から夏にかけての高温多湿期には、「うどんこ病」「斑点病」「カイガラムシ」「アブラムシ」などが発生します。
これらは放っておくと枯れる場合もあるので、風通しを悪くしないように予防策をとったり、時には殺虫剤も必要になります。
こうしてみてみると、フサスグリは日本の気候に適した植物だとは必ずしも言えません。
そのため、植えた後の管理が大変で「植えなければよかった」と感じる人もいるでしょう。
しかし、フサスグリ自体に毒があったり害を与えたりするものではないため、きちんと管理しなければならないことを知っておけば、植えて楽しむことも可能です。
フサスグリの縁起や花言葉は?
フサスグリは、薄い黄色の可愛らしい花を咲かせます。
花が咲く時期は春の終わりごろですが、切り花として流通しているのは夏の初めの時期につくグリーンの実か真っ赤に色づいた実です。
フサスグリの花には、このような花言葉があります。
・私はあなたを喜ばせる
・新しい経験
・珍しい
・幸福の訪れ
こうしてみると、よいものばかりに見えますが、一方で、このような花言葉もあります。
・予想を裏切る
・あなたの不機嫌が私を苦しめる
これは、フサスグリの果実が真っ赤でいかにも甘そうなのに、食べてみるととても酸っぱいところからきているようです。
また、スグリ科の植物の枝にはトゲがあることから、それを「不機嫌」と称してこの花言葉がつけられたのかもしれません。
単なる花言葉ではありますが、少しネガティブな印象の花言葉があると植えるのに躊躇する人も出てきそうですよね。
別記事で、「植えてはいけない」と言われている植物の一覧をまとめています!
あなたの家の庭に植えてる植物も「植えてはいけない」と言われてる植物の一つかもしれません。
なぜ、そのように言われてるのか、などの理由なども詳しく紹介しています。
気になる植物をチェックしてみてくださいね!
フサスグリの地植えと鉢植えでの育て方
フサスグリは地植えでも鉢植えでも構いませんが、先述したように繁殖力が高いため、気になる人は鉢植えをお勧めします。
また、鉢植えと地植えでは育て方が異なるので詳しく説明していきます。
地植えの場合
フサスグリを地植えする場合、寒冷地と温暖地では植え方の時期が異なります。
これはフサスグリが暑さに弱いためで、寒冷地では3月、温暖地では日差しが弱くなる11月頃に植え付けをします。
深さ40cm程に穴を掘り、腐葉土と有機肥料を混ぜてフサスグリを浅く植え付けます。
根本は乾燥しないように稲わらなどで保護するようにしましょう。
鉢植えの場合
鉢植えの場合も、植え付けの時期は地植えと同じで寒冷地では3月、温暖地では11月とされています。
用土は果樹用の培養土と緩効性の固形肥料を混ぜたものを使用します。
鉢植えをする場合は、鉢底にネットを敷いて石を入れ、水はけをよくすることが大切です。
フサスグリは乾燥に弱いので水やりは欠かせませんが、あまりやりすぎると根腐れをおこしてしまうため、土が乾いていたらたっぷりと水をあげましょう。
また、鉢植えの場合は、2年に一度くらいの感覚で植え替えをする必要があります。
放っておくと根詰まりをおこし、ひどいときには枯れてしまうこともあるからです。
木の高さはそこまで高くないため、植え替えはそんなに大変ではありません。
植え替えをするときは、今の鉢植えよりも一回り大きなものを選び、新しい土壌を作ります。
根は浅く広げるようにして植えましょう。
フサスグリの害虫に注意!
フサスグリは病害虫にも気を付ける必要があります。
その中でも厄介なのがカイガラムシです。
カイガラムシはフサスグリの発育を悪くし、うまく育たなくなってしまいます。
そして最終的には、フサスグリの樹液をすべて吸い取り枯らしてしまうという恐ろしい害虫です。
カイガラムシは、日当たりや風通しの悪いところに置いておくとやってくる可能性が高まります。
フサスグリは暑さに弱いからと日陰においてばかりいると、カイガラムシの餌食になってしまうことがあるのです。
鉢植えの場合はこまめに鉢を移動させたりして、害虫がやってこないようにしましょう。
カイガラムシのほかにも気を付けなければならないのは、うどんこ病です。
うどんこ病は葉に白いカビが生える病気です。
そのままにしていると弱って枯れてしまいます。
軽いものであれば、薄めた重曹や酢をスプレーすると効果があります。
重度な場合は被害にあった部分を摘み取って薬剤を散布します。
フサスグリの肥料は?
フサスグリの肥料は、速効性化成肥料か有機肥料が適しています。
これらの肥料は根張りを強化したり、果実の結実を促してくれるため、9~10月頃に与えることで新芽や花芽を増やすことができます。
また、一緒に天然活力剤も併用することで、土の中に溶けだした栄養分を効率よく吸収してくれます。
肥料は少なすぎると花が咲かず実がならない場合があります。
ただし肥料のやりすぎは窒素過多になり、うどんこ病などの原因になったり株が弱ってしまうため、肥料の量は適宜調整しましょう。
フサスグリは食べられる?味やおすすめの食べ方は?
フサスグリは赤くておいしそうな果実をつけます。
もぎ取って、ぱくっと食べたくなりますが生で食べるととても酸っぱいです。
そのため、ヨーロッパなどではジャムやジュースに加工して食べることが一般的です。
フサスグリには肌荒れを予防するビタミンCや、生活習慣やがんの予防をしてくれるビタミンAが豊富に含まれています。
疲れた体を回復してくれるクエン酸や眼精疲労に対して効果のあるアントシアニンも含まれているので、是非食べてみたいですね。
ジャムにする場合は、果実と同量の砂糖を入れて作ります。
ジュースにする場合は、炭酸水で割ることで強い酸味が抑えられおいしく飲むことができます。
その他にも、フサスグリから作ったソースをサラダやパンケーキにかけて食べる方法もあるので、果実を収穫したら試してみてください。
ちなみに、フサスグリの実はとても綺麗ですが繊細で非常に柔らかいため、収穫するときは優しく手を添えて、いくつかの房をまとめて軸をつまむようにしてむしり取るといいでしょう。
実はつぶれやすいので、優しく取り扱うようにしてください。
フサスグリは挿し木で増やせる?
フサスグリを増やすには挿し木がおすすめです。
挿し木の手順は、まずフサスグリの挿し穂を切り取り、数時間水に浸してから用意した土に挿すだけです。
挿し穂は若くて元気のよい枝が良く、用土は挿し芽用のものを選ぶのがポイントです。
挿し木をしたらしばらくはたっぷりと水をあげてください。
フサスグリは水をたっぷりとあげるのが良いですが、暑さには強くないため日差しが強い日の午後は気をつけましょう。
フサスグリの剪定は?
フサスグリは暑さや蒸れに弱いため、風通しが良くなるような剪定が必要になります。
フサスグリの剪定に適した時期は12月から2月の冬場です。
株の内側に向かう枝や混みあった枝、弱った枝は間引きます。
これは花芽を切ってしまうことにもなりますが、実をつけてから年数が経過した枝は先端にしか実がつかなくなるため、枝の1/4を切り返すと次の年に充実した花芽が出ます。
風通しを良くするために剪定を行うことで、病気や害虫の予防にもなります。
フサスグリは庭植えより鉢植えの方が良い?
フサスグリは地植えでも鉢植えでもどちらでも育てることができます。
しかし、先述したように地植えの場合は繁殖力が強かったり、思わぬところから芽が出てしまうこともあります。
また、暑さに弱いからといって日陰に植えてしまうと病気や害虫の被害にあてしまうこともあります。
そういったことを防ぐためにも、初めて植えるときは鉢植えの方が無難です。
鉢植えの場合は水はけを良くし、半日陰の風通しの良いところに置くように心がけましょう。
まとめ
フサスグリは、その繁殖力の強さや手間の多さなどから植えてはいけないとも言われています。
できた果実も生のままでは食べられないため、加工する必要があり、人によっては面倒だと思われるかもしれません。
しかし、果実には豊富なビタミンが含まれており、手間をかけた分だけ愛情もひとしおなはず。
そういった手間を楽しめる人であれば、植えて楽しむのもいいですね。